Daily Archives: 09/15/2015

石垣島の旅12 ~吹きガラス体験~


コロコロコロコロ、スーツケースを転がす。
空港などの滑らかな床ではなく、アスファルトの道路は、かなりの振動が手に響いてくる。
100メートル歩いたところで、スマホを取り出す。
本当にこっちであっているだろうか。
私は、方向音痴だ。
ショッピングモールのトイレに入ると、逆方向に出てしまう。
便利なものができたものだ。歩いて何分と時間まで出てくる。
とりあえず、進む方向はあっている。海岸道路を海の沿って歩けばいいのだ。目指す吹きガラス体験も店はその道路沿いにある。
途中、慰霊碑があり、拝む。
歩いていなければ、立ち寄れないところだった。
そして、10分もすると、目的地到着。高台に海を一望できる建物が建てられていた。そこが、目的地吹きガラス体験の場所であった。

スーツケースを抱えて、30段ほどある階段を上った。階段を中心としてお店は左右二棟でできており、右は工房、左は受付とデザインを行うスペースと窓際にはガラス製品が飾ってあった。
海に面して大きなガラス窓が設けられており、ガラス窓にアイアンの棚が取り付けられ、外の光を受けてガラス製品が美しい色を放っている。
私は、虹色のピアスに惹きつけられた。
この場所に飾られていることが、とても誇らしいと言わんばかりにそこに存在しているように感じた。
工房には一組目の体験の方が、世界に一つだけの自分の作品作りをしており、その間、ガラスたちを眺める気持ちの良い時間があった。
これ、うちの店で取り扱いさせてもらえないだろうかと思い始めていた。
この時3月の終わり。
4月からは、時間が短い勤務になる予定だった(この時は)
5月から自宅ショップをまた時々開けようと考えていたのだ。

お店の方が来られ、受付となった、体験できる形は3種類の中から選ぶようになっていたが、私は、目の前のテーブルに置かれている形も色もそのままこれがいいと思うような、私の好みにぴったりの小鉢が置かれており、そのことをそのまま伝えた。
ガラスは、色によって相性が悪いものもあるらしい。どの色を合わせるかで出来上がりが美しくならないものもあるというのだ。私は寒色系を3色選び鉄板のプレートに並べた。小さなビーズのようなガラスのかけらをプレートの中央に書かれた長四角の枠の中に並べるのだ。この並べ方がのちの模様になる。
模様が決まれば、あとは吹きガラス。本体の制作となる。工房の方に移動して、説明を受ける。体験と言っても、私が作るのを手伝ってくれるというよりは、先生が作業するのに私が手を添えるといった感じで、少々物足りなさを感じた。失敗しないように促してくれるのだが、私としては失敗もしてみたかったという気がした。それでも、実際ガラスを吹く作業は私がした。
昔、駄菓子屋などに売られていた(今もあるとおもうけど)割れない風船をつくるものがあった。シンナー臭いものを携帯用歯ブラシについている歯磨き粉のチューブのようなものから少しだけだし、短いストローの先につけて、ぷぅっと膨らませる。
その時の、硬さに似ていた。風船ガムとのそれとは異なる。
案外膨らまないものだなと思いながら、慎重に息を吹き込む。
膨らんだ先、頂点が、器の底の面になり、別の棒をくっつけて、今までくっつけていた方の棒を取る。そちらの面が器のくちの部分に当たるのだ。そういうふうに器はできていたのかとちょっと意外で感心した。
口を徐々に広げていく作業も私の方がお手伝いしているという感覚であったが、ほぼ、イメージ通りのものが出来上がった。
一から十まで自分だけでしてみたいなぁという思いを残して、初めての吹きガラス体験は終了となった。
そして、その後、うちの店でこちらのガラス製品を取り扱いさせてもらえないかと交渉をした。
ところが、私が気に入った作品は、どれもこのお店の方が作ったものではなく、委託で販売されていたものだった。本来なら、そういう場合、作家とつながるのを嫌がられるのだが、やはり、なんくるないさぁの精神なのだろうか、作家さんに私の名刺を渡してくださるというのだ。有難い。出来上がった器は時間をかけて冷まさねばならず、郵送してもらうようにお願いして、また30段ほどある階段をスーツケースを抱えて下りた。この体験、子どもでも十分できるので、娘と来たかったなぁと思いながら。

また、コロコロスーツケースを転がし、結構な音を響かせながらアスファルトを進んだ。
もうすぐ、あえるのね、マングローブちゃん。

私とマングローブ蟹との出会いは、10年前にさかのぼる。

つづく。