Daily Archives: 05/11/2016

うたうたいへの道~うたうたって~


3月下旬、大分の祖母が具合が悪いとの知らせを受けて、顔を見に帰ってきました。
祖母は、2年前に胆のう癌が見つかったらしいのですが、年齢的なこともあり、進行は遅いだろうからということで、特別な治療をしない方針で来ていたらしく、でもここへきて、全身に転移していることがわかり、体調も悪くなり、痛みもあるので、今後モルヒネを使用すると意思疎通が難しくなるだろうということでした。
大分の祖母は、父の母で、私の4人の祖父母の中では一番思い出が多い祖母です。

行こうと思えば、新幹線で4時間です。朝思い立って、出かけても、お昼過ぎには着くのです。
始発で行けば午前中。

その日、午後1時に新幹線に乗りました。5時に大分宇佐駅ににつきました。
宇佐駅では、何十年ぶりかわからないくらいの私の従弟が叔父とともに待っていてくれました。

叔父、従弟とともに宇佐駅近くの病院に向かいました。
対面したばあちゃんは人相がかわっていました。
しかし私のことを、覚えていてくれました。
脳の働きに関しては、私の母よりしっかりしています^^;
「ひとりできたんかい?」と久しぶりに聞くばあちゃんの声は腹に全く力が入っていない声でした。
この日は、短時間の面会で、叔父従弟とともに、引き上げましたが、次の日は、一日中ばあちゃんのそばについていました。

ばあちゃんは夜中に痛み止めを入れた影響からか、日中寝たり起きたりを繰り返していました。
食事は、朝と夜の2回だけ。昼は点滴なのですが、食べ物がすべて苦く感じるのだそうで、口から入れるものをとろうとしません。
食べられないからといって、点滴が増えるわけでもなく…。
ずっと横についていると、ばあちゃんは
「あれ…なんじゃったかのう…」といい始めました。
昔、私の父と母が結婚の許しをもらうのに、ばあちゃんと千葉のおじちゃん(母の兄)が京都に来たらしく、その時に食べた料理がすごくおいしかったといい始めました。
今、何も食べたくないという状況で、50年も前のおいしかったもののことを思い出すのです。
「なに?何料理やったん?」と聞いても「鶏が入ってた」といい、
私が、「すき焼きか?寄せ鍋?あっ焼き鳥?」などと思いつく限りの料理名をあげても、首を縦に振りません。
なんとしても50年も前に食べたおいしかった料理名を言い当てたい。
父に聞きたいところですが、天国。
叔父も天国。
母しかありません。
そう思い、ばあちゃんに「お母さんに聞いてみるわ」といってスマホ片手に病室を出ました。
電話で母にいきさつを説明しましたが、昔そんなことがあったことも覚えていないということで、全く出てこず。
しばらく、母と話して病室に戻ると、ばあちゃんは「わかった?」と。
料理名を聞き出しに病室を抜けたことを覚えてることに驚きつつ「お母さん、覚えてないって」と報告。
ばあちゃん本当に頭はしっかりしています。

またばあちゃんのベッドの横に座って、何かなぁ?どんな料理やったんやろなぁ?と考えているうちに、ばあちゃんは眠ったり、また起きたりを繰り返す。

どれくらいの時間がたったときだろう。
ばあちゃんが寝たり起きたりを繰り返す、そのはざまに、こういった。
「うた…うたって…」
(う、うた?)
驚いた。

ばあちゃんと私の間に、歌に関する思い出はない。
歌をうたって聴かせた思い出も、私が、今歌を習っていることもばあちゃんは知らない。
歌についての話をしたこともないのに、「うたをうたって」とは…。

「うた…」そういって、私の口から出てきた歌は、「見上げてごらん夜の星を」
二人部屋なので、大きい声では歌えない。囁くような声で歌った。

歌って、歌詞を覚えていないと歌えないのだ。鼻歌ならいい加減でいいが、人にうたって聴かせるとなるとちゃんと覚えていないと歌えない。
次は、何をうたおうと考えたが、今レッスン中の曲は、少々元気のある曲なので病院には似合わない。
去年練習していた曲「亡き王女のパバーヌ」なら、まだ大丈夫。
そうおもって、2曲目をうたった。
すると、ばあちゃんはこういった。
「あの歌、なんやったかなぁ…」
聞けば、年配の男の人が歌っている歌で、春の歌を歌ってくれといっている。
なんとも難しいお題。

50年前の忘れられない鶏料理といい、おじさまが歌う春の歌といい、どちらも正解にはたどり着けず。

そして、私が歌ってあげられたのは、春の童謡。
「チューリップ」や「ちょうちょ」
歌いながら、(童謡って体に染みついてるねんなぁ)とか(ばあちゃん。うたをうたってっていうねんなぁ)などが頭をよぎっていました。

ちょうど一年前、石垣島で、夏川りみの隣にすんでいるタクシーの運転手のおじさんに「いい歌い手になってください」といわれ、BEGINは「これから音楽を始める人はぜひ続けてください」と言っていた。
仰せのとおり、この一年、歌をうたった。
ギターの伴奏で。バンドを組んで。
バンド演奏の後、私が思ったのは、【老人施設に歌をうたいに行こう】ということだった。
娘たちと、2年前「まーのわーる」を結成し、ピアノとリコーダー、鍵盤ハーモニカで訪問したように、歌をうたいに行くことができるではないか。
そう思っていたのだ。
思うだけで、行動に移してはいなかった。

そして、今回、自分のばあちゃんに病院で「うたをうたって」と言われた。
【あなた、思いついたなら行動しなさいよ】そう神様に言われているような気がした。

うたうたいへの道は次の道がすっと伸びて見えた。

老人ホームや、病院に歌をうたいに行って、みなさんに聞いてみよう。
【おじさまが歌う春の歌】って、どんな歌ですか?

つづく。

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